帳票はヘッダー、明細そしてフッターで構成されています。ヘッダーやフッターは各帳票で一度しか出力しないので簡単ですが、明細行は次のような機能が必要でしょう。
- 明細データから指定した行数分のデータを取り出す
- 明細データを指定した行数ごとに分割する
この記事では帳票を作る際に必要な配列操作について解説します。
今回利用するデータについて
今回利用するデータは次のような内容であることとします。
{ "items": [ {"name": "商品1", "price": 100, "unit": 10}, {"name": "商品2", "price": 200, "unit": 20}, {"name": "商品3", "price": 300, "unit": 30}, {"name": "商品4", "price": 400, "unit": 40}, {"name": "商品5", "price": 500, "unit": 50}, {"name": "商品6", "price": 600, "unit": 60}, {"name": "商品7", "price": 700, "unit": 70}, {"name": "商品8", "price": 800, "unit": 80}, {"name": "商品9", "price": 900, "unit": 90}, {"name": "商品10", "price": 1000, "unit": 100}, {"name": "商品11", "price": 1100, "unit": 110}, {"name": "商品12", "price": 1200, "unit": 120}, {"name": "商品13", "price": 1300, "unit": 130}, {"name": "商品14", "price": 1400, "unit": 140} ] }
この items
キーが明細データになります。
1ページ4明細の帳票の場合
今回のデータは明細が14件ありますので、1ページ4明細の場合は次のような帳票になります。
- 全4ページ
- 4ページ目が2件
こうした帳票を作る場合は、まず items
キーの内容を次のように分割すれば良さそうです。
[ [ {"name": "商品1", "price": 100, "unit": 10}, {"name": "商品2", "price": 200, "unit": 20}, {"name": "商品3", "price": 300, "unit": 30}, {"name": "商品4", "price": 400, "unit": 40} ], [ {"name": "商品5", "price": 500, "unit": 50}, {"name": "商品6", "price": 600, "unit": 60}, {"name": "商品7", "price": 700, "unit": 70}, {"name": "商品8", "price": 800, "unit": 80} ], [ {"name": "商品9", "price": 900, "unit": 90}, {"name": "商品10", "price": 1000, "unit": 100}, {"name": "商品11", "price": 1100, "unit": 110}, {"name": "商品12", "price": 1200, "unit": 120} ], [ {"name": "商品13", "price": 1300, "unit": 130}, {"name": "商品14", "price": 1400, "unit": 140} ] ]
このようにデータを分割するメソッドが chunk
です。次のように実行します。
#set($pages = $ROOT.items.chunk(4))
この chunk
メソッドは指定したデータ件数(今回は4)ごとにデータを分割して、配列にします。つまり $pages
の内容は次のようになります。
[ [ {"name": "商品1", "price": 100, "unit": 10}, {"name": "商品2", "price": 200, "unit": 20}, {"name": "商品3", "price": 300, "unit": 30}, {"name": "商品4", "price": 400, "unit": 40} ], [ {"name": "商品5", "price": 500, "unit": 50}, {"name": "商品6", "price": 600, "unit": 60}, {"name": "商品7", "price": 700, "unit": 70}, {"name": "商品8", "price": 800, "unit": 80} ], [ {"name": "商品9", "price": 900, "unit": 90}, {"name": "商品10", "price": 1000, "unit": 100}, {"name": "商品11", "price": 1100, "unit": 110}, {"name": "商品12", "price": 1200, "unit": 120} ], [ {"name": "商品13", "price": 1300, "unit": 130}, {"name": "商品14", "price": 1400, "unit": 140} ] ]
後はこの pages
ごとにループ処理をすれば、ページごとの明細を出力できます。
#for ($page in $pages) ## ページ単位のループ #for ($item in $page) ## 明細ごとのループ #end #end
1ページ目が4件の明細、2ページ目以降は6件という帳票の場合
次は1ページ目を4件、2ページ目以降は6件の場合は、次のような帳票になります。明細データは先ほどと同じく14件とします。
- 全3ページ
- 1ページ目は4件、2ページ目は6件、3ページ目は4件
1ページ目用のデータを取得する
まず items
キーの中から4件のデータを取得します。この時には take
を使います。
#set($firstPage = $ROOT.items.take(4))
この時、$firstPage
は次のような内容になっています。
[ {"name": "商品1", "price": 100, "unit": 10}, {"name": "商品2", "price": 200, "unit": 20}, {"name": "商品3", "price": 300, "unit": 30}, {"name": "商品4", "price": 400, "unit": 40} ]
1ページ目のテンプレートを作り、そのまま出力を行います。
2ページ目以降のデータを取得する
次に2ページ目以降、データを6件ずつに分割します。この時に使うのが drop
です。 drop
は指定した数字(今回は4)分、データをスキップします。そして残りのデータについて chunk
で6件ずつに分割します。
#set($pages = $ROOT.items.drop(4).chunk(6))
この時の $pages
の内容は次のようになります。
[ [ {"name": "商品5", "price": 500, "unit": 50}, {"name": "商品6", "price": 600, "unit": 60}, {"name": "商品7", "price": 700, "unit": 70}, {"name": "商品8", "price": 800, "unit": 80}, {"name": "商品9", "price": 900, "unit": 90}, {"name": "商品10", "price": 1000, "unit": 100}, ], [ {"name": "商品11", "price": 1100, "unit": 110}, {"name": "商品12", "price": 1200, "unit": 120}, {"name": "商品13", "price": 1300, "unit": 130}, {"name": "商品14", "price": 1400, "unit": 140} ] ]
2ページ目以降のテンプレートを作り、出力します。
最後のページだけ出力内容が異なる場合
帳票において、最後のページだけ出力内容が異なるケースは良くあります。たとえば集計行の出力です。ループ処理の中で最後のページかどうか判別する際には $foreach.last
を使います。
#for ($page in $pages) ## ページ単位のループ #for ($item in $page) ## 明細ごとのループ #end #if ($foreach.last) ## 最後のページの場合 ## 集計行の表示など #end #end
$foreach.last
を含め、次のようなデータがあります。
データ | 型 | 意味 |
---|---|---|
$foreach.first | 真偽値 | ループの先頭ならtrue |
$foreach.last | 真偽値 | ループの最後ならtrue |
$foreach.count | 数値 | ループの回数(1..) |
$foreach.index | 数値 | ループのインデックス(0..) |
なお、印刷範囲を3つにすることで「最初のページ」「2ページ目以降のページ」「最後のページ」に分けて印刷範囲を作成することもできます。この時、明細データの取得方法は次のようになります。 firstNum
は最初のページの明細件数、 num
は2ページ目以降の明細件数です。
- 最初のページ
#set($page = $e.items.take(firstNum))
- 2ページ目以降のページ(最後のページを除く)
#set($pages = $e.items.drop(firstNum).chunk(num).slice(0, -1))
- 最後のページ
#set($page = $e.items.drop(firstNum).chunk(num).slice(-1)[0])
この3つのパターンを使うことで、 $foreach
を使わない形でも帳票を作成できます。
デバッグ
もし明細の内容がどのようになっているか気になった場合には B列
以降の列で %{page}
のように指定した上で帳票出力してください。データの内容がダンプされるので、どういった項目があるのか確認できます。
まとめ
帳票で明細行を出力する処理は改ページにも繋がるので、処理が複雑になります。頭の中で出力結果を考えながら記述するのは難しいですが、慣れてしまえばすぐできるようになるでしょう。ぜひトライしてください。